第65章 魂に呼ばれて
ロウが戦士を見て悲しそうに息を吐く。
「こやつがアーウィンとわかった今このまま放っておくわけにもいかなくなった…」
ブレインはゆっくりアーウィンに近づいた。
なにか言っているのが聞こえるのでさらに近づく。
するとブレインが戦士に吸い込まれていった。
「あ!?ブレイン!!」
気づくとブレインの姿はなかった。
ブレインが戻ってくるまでの間、みんなは固唾を飲み彼が戻ってくるのを待つ。
サランはまだ、エレノアが宿っているのか静かに戦士を見つめていた。
「まさか、サランにエレノアが憑依するとはなぁ…。」
ロウの言葉にシルビアが少し不安そうな表情をした。
「シルビア?どうかしたのか?」
シルビアの表情にグレイグが声をかける。
「えぇ…ちょっと前にも似たようなことあったなぁって考えてただけよ。」
「似たようなこと?」
「サランのお母さんがね。サランが目覚める少し前にサランの体を借りてたことがあったの。
サランのことだからきっと、夢の中でブレインちゃんのお母さんと話をしたのかなって。助けを求めるけど誰にも届かない声があの子はしっかり聞こうとするから。」
「…とても優しい人なんだな。」
「えぇ…だからとても不安になるの。」
シルビアはサランを見つめた。