第65章 魂に呼ばれて
戦士が力尽き膝を地面に着く。
「うぅ…くちおしい…くちおしいぞ!
よくもエレノアとブレインを!
許さぬ…決して許さぬぞ…………!!」
戦士の言葉をよく聞くとそばに居るブレインの名前を何度か唱えた。
それを聞いていたシルビアが訝しげに戦士を見つめた。
「なんで、ブレインちゃんのことを?
もしかして戦士ちゃん……
ブレインちゃんを知ってるの?」
確信を得たロウが前に出てきた。
「やはりそうか…お主はアーウィンじゃな?」
「アーウィン…?」
サランがハッとして戦士を見つめる。
「あ、サラン?気がついたの?」
「えっと…ここは?」
キョトンとするサランにシルビアが安心したと胸を撫で下ろす。
「アーウィンはユグノア王国の王であり、勇敢なユグノア戦士でもあった…
ブレインよ…お主の実の父親じゃ。
まさか、こんな形で再会するとは…」
ロウは困惑していた2人のことは気にせず話を続けた。
「ブレインちゃんの…」
「実の父親…」
シルビアとサランは驚きを隠せないようだった。
ロウはアーウィンと呼ばれる戦士に近づき悲しそうに見つめた。
「アーウィンよ、お主はなぜこのような姿になってしまったんじゃ…?
わしによく顔を見せておくれ…」
戦士が甲冑を上げるとまるで異空間に繋がるような渦が広がっていた。
その光景にロウは驚く。
それと同時にサランがまた一瞬、気を失った。
「サラン?」
シルビアの声掛けに答えず、サランはふらりと立ち上がるとホッとしたような表情になる。