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月夜の歌姫

第63章 再会と別れと再出発


この答えはサラン自身が彼に対して話さなければならないため、さすがのシルビアも困った顔をする。

「と、とりあえず…魔王倒してからにしません?
それまでは一時不問ということで…」

「しかし、それでは!」

「償いたいと思うなら1回不問にしてもらえると私としては助かります。」

「……分かった。サランがそう言うなら…!」

サランは納得したように頷くのを見るとシルビアが出発しようと言い出した。

「おネエ様!」

屋敷の方から声が響き一同はそちらを向く。
シルビアが連れてきたパレードの仲間がぞろぞろとやってきたのだ。

(そういえば…この人たちって一体?
町の人ではなさそうだし?)

キョトンとするサランにパンチョが大声を上げた。

「あなた!もしかして歌姫のサランさん?」

「え、えぇ?あなたは誰ですか?」

戸惑うサランにシルビアが説明をしてくれた。

彼らがさっき言った世助けパレードのナカマでパンチョは自分たちのいたサーカス団の新人ということを。
パレードのナカマはシルビアとの別れが悲しくみんな各々、悲しみに暮れていた。

「んもう…みんな!いいわね?
パパの言うことちゃんと聞くのよ?」

シルビアはビシッとみんなを叱咤した。
しかし、パレードのナカマはシルビアに駆け寄り駄々をこねる。

「おネエさま!やっぱり行かないで〜!
お別れなんてイヤよー!」

シルビアは空を見上げた。

「アタシだってみんなとお別れするのはとても悲しいわ。だけどみんなの笑顔を奪う魔王ちゃんを倒さなくちゃ?
それまでの短いお別れ…」

シルビアはナカマの顔を見て優しく微笑んだ。

「たとえどんなに離れていてもアタシたちずっとナカマよ!」

そこへメガネの男性が手を伸ばした。

「おネエさま!困った時はいつでも呼んでね!
あたし達どこであろうと駆けつけるから!」

パレードのナカマはソルティコの町の入口まで見送ってくれた。
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