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月夜の歌姫

第63章 再会と別れと再出発


その勢いを見たシルビアはポカーンと口を開けていた。

「勝手に1人で死ぬ気で行かないでください。
生きるために戦ってください。一緒に戦わせてください。」

さっき乾いたばかりの涙がまた自然と溢れ出した。
それを見たシルビアは優しく微笑みサランを見つめる。

(そうだったわ、この子…変なところ頑固で動かない子だったわね。)

彼女の幼き日を思い出し懐かしんだ。

「…そうね。ごめんなさい。あなたの気持ち考えてあげられなかったわ。
みんなと一緒に魔王を倒して世界を笑顔にしましょう!」

「はい!」

2人は荷物をまとめてジエーゴに挨拶しに行った。

「ゴリアテが帰ってきて早々すぐにまた行くのは知っていたが、まさかサランもユキも行くとは。
ちょっと寂しくなるな。」

サランは少し残念そうに笑うジエーゴに対しペコリとお辞儀をした。

「短い間でしたがお世話になりました。
ほんとに感謝しています。」

「あぁ、いいってことよ。礼を言うならこっちだからな。この町を守ってくれてありがとな。」

にこりと微笑むサランにシルビアが話しかけてきた。

「サラン、みんな待ってるわ。
そろそろ行きましょう?」

「はい!」

「じゃあ、パパ?あとはお願いね。」

2人は部屋を出ようと扉へ向かった。
その背中にジエーゴが大きな声を出す。

「おいゴリアテ!」

その声で、2人は振り返る。

「サランを絶対に守れよ。
お前が大切だと言うのならな!」


少しの間が開き、決心したようにシルビアは振り返った。

「えぇ!必ず!
騎士としてではなく、大切なパートナーとして。」

シルビアの言葉にサランは頬が熱くなるのを感じた。
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