第63章 再会と別れと再出発
そんなことあるのか?
会いたかった人の声が名前を呼ぶ。
振り向くのが怖い。
でも確かめたい、サランはゆっくり確実に振り返った。
そこにはシルビアが驚いた顔をして立っていた。
サランはハッと息を飲む。
そこにいる人は幻覚でもないか会いたくてたまらなくて自分が見ている幻覚なのでは?
ゆっくり1歩ずつシルビアに近づき手を伸ばす。
少し高い位置にある頬に触れてから首筋へ滑らせ胸元へ手を当てる。
手のひらごしに伝わるドクンドクンと力強く打つ鼓動にサランの目から涙が溢れた。
「シルビアさん…!」
顔を見てサランの目から涙が溢れた。
それはシルビアも同じだったようで涙を流しながらシルビアはサランをゆっくり優しく抱きしめた。
「会いたかった…良かったわ!」
「私も会いたかったです。」
シルビアは微かに流れる鼻歌を聞き急いでやってきたという。
「シルビアさん耳いいんですね。」
ふふっと笑うサランにシルビアも優しく微笑みながら愛おしそうに見つめる。
良かった、いつものサランだ。とシルビアは心の底から安心した。
「おい、ゴリアテー。どこにいる?ったく急に飛び出しやがって。」
廊下からジエーゴの声が響いた。