第63章 再会と別れと再出発
サランは波の音を感じながらゆっくり瞼を開ける。
外は晴れ渡る青空が広がり久しぶりに見た日の光に目を細めた。
しばらく使ってなかった体を起こしゆっくり歩いてから窓を開ける。
風がヒュっと髪にイタズラをした。潮の匂いが鼻をくすぐりまだ希望はあると目を輝かせた。
誰かが私にエールを送ってくれた気がする。
自分の決意とは別に胸の奥がポカポカと温かいのを感じた。
まだ世界は闇に包まれている。
しかし、闇の中にも光はきっとある。
サランは深く息を吸い込み大きく伸びをした。
そして、慣れたようにハミングをする。
考え事をする時はハミングするのがいいと昔からサランは口遊んだ。
これからどうしようか、とりあえず仲間を集めどう魔王と立ち向かえばいいか。
やることは沢山ある。
窓を閉めた時、ガチャっとドアの開く音がした。
「……サランなの?」
その声にドクンと心臓が跳ねた。