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月夜の歌姫

第61章 前を向くために


私ってなんでそんなに否定するの?
やっぱり本当は分かってて信じたくないだけなのかな。

ほらね?だからもう楽になろう。
待ってたって探したって誰もいない

「もうやめて!!!」

バシャンと手を自分が写る水面に叩きつける。

しかし自分は特に臆することなく手を伸ばしてきた。

もういいでしょ?サラン、あなたは頑張った。
もうゆっくり休もうよ
こっちに来れば何も感じなくていいんだよ?
全て忘れて名前も信じたくない思いも捨ててね

水面から出た自分の手は暖かく優しかった。

もう、頑張らなくていい抗わなくていい
全て忘れられたら…

フラッシュバックのように目の前がチカチカとしてブレイン、カミュ、ベロニカ、セーニャ、ロウ、マルティナ
そしてシルビア。仲間の顔がパチパチと流れる。

「……!」

掴まれていた手を振り払いサランのは逃げるように走り出した。
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