第61章 前を向くために
私がみんなを諦めたら私はもうみんなのことを思い出せなくなる!
みんなが生きてた記憶はこの感情が!
苦しくてもいい、辛くても!
大切な人を思い出も感情も思い出せなくなるくらいなら私は辛い今を生きたい!!
振り返らずただひたすら走っていると目の前に幼少期のサランと母親が現れた。
立ち止まり2人をを見つめる。
「サランは、本当にいいの?現実は苦しいだけだよ?」
「…いいの。それに、シルビアさんたちが生きてたことを語れるのは生きてる私の特権だから」
「愛してる人なんでしょ?もういないかもしれないのに?」
「愛しているからだよ。愛しているから思い出したいの」
サランはそっかと笑った。
「サランに月の女神の加護がありますように」
幼少の自分の横を通り過ぎるとサラン真っ直ぐ進んだ。
どこかで誰かがあとちょっとだったのにと悔しがる声が聞こえた気がしたがサランは、気にも止めずまっすぐ歩いた。真っ直ぐ歩いた先には重そうな扉がポツンとそこにあった。
この先の現実を生きなきゃ!
唇をクッと噛み扉を開けた。
眩しい光で目がくらむがそれでもサランは進むことを決意した。