第60章 運命とは時に残酷である
そこへ軽くドアがノックされる。
ジエーゴが入れと言うと1人のメイドらしき人が入ってきた。
「どうだ、あの子の様子は。」
ジエーゴの言葉にメイドは静かに首を横に振る。
その様子にジエーゴも残念そうにため息をついた。
「パパ?どうしたの?」
らしくない父の姿にシルビアはキョトンとする。
「あ、あぁ…。いや、なんでもないんだ。
シオ、引き続き様子を見てて欲しい。」
シオと呼ばれた女性はかしこまりましたとお辞儀をして、部屋を後にする。
「パパ?アタシにも話せないこと?」
シルビアはじっとジエーゴを見つめた。
死んだシルビアの母と自分の子だなとジエーゴはその真っ直ぐとした瞳にまたため息をつく。
「分かった、話すよ。
ここ、1ヶ月くらい前だったか不思議な女がこの町へ来たんだ。ホワイトパンサーを連れてな。
とにかく町の者に優しくおだやかな…やつがな。
魔物がうろついてるこの世界どこから来たのか分からなかったが話をしてしばらくここで住まわしてたんだ。
ある日、魔物の襲撃にあっちまって今回ばかりは確か…魔王の六軍王の1人と彼女も戦えると一緒に応戦してくれたんだが俺の身体が言うこと聞かなかった時…。ダメだと思ったんだが彼女が何かを決意して俺たちの前に出ると急に歌い始めたんだ。」
「え、歌?それに六軍王ですって!?」
ジエーゴは頷きさらに経緯をシルビアに話した。
シルビアは震える。
自分の父親が誰のことを話しているのか分かった気がした。