第59章 闇を愛するものと光を願うもの
ゾルデが去った後、ソルティアナ海岸には久しぶりの青空が広がっていく。ジエーゴは教え子達に支えられ倒れ込むサランの近くに座り込んだ。ユキもサランの体を回り込みサランの頬をぺろぺろと舐める。しかし、いつものようにサランが起きることはなかった。
「そんな…サランさん…!」
教え子の1人が涙を流す。
ジエーゴがサランを抱き上げる。息や脈を測るが生きてるとは到底思えない。
「誰か!世界樹の葉を持つものはいねぇのか!?」
その場にいる全員が黙り込む。持っていたら全員がもちろん惜しみなく使うだろう。だが出すことが出来ない。持っていないものを出すのは無理だった。
後から自分のやるべきことをやったセザールが急いでやってくる。セザールはその光景を見て言葉を失った。
「ご主人様。町の方々の避難は終わらせました。
…これはなにがあったのですか?サラン様は…?」
「また病気の発作で戦い辛くなった俺を守るために1人で六軍王とやらと戦いやがった…。」
ジエーゴの言葉にその場にいるみんなが俯いた。
しかしセザールは悲しみに昏れる前にキッと声を出した。
「急いで教会に行きましょう。まだ間に合うかも知れません。」
セザールはサランを抱き上げるとその場にいる人達に的確な指示を出した。