第58章 笑顔を届けるために
つかつかと歩き出しシルビアの元に来ると手を伸ばし胸ぐらを掴み怒鳴り出した。
「まさかサランも守れなくてそれで戻ってきたの!?
人助けしてる旅芸人がいるとは噂で聞いていたわ、だからシルビアネェさんの事かなってすぐ分かったよ。でも1番大切にしなきゃいけない人も守れずそんな悠長なこと言えるんだね!?なんとか言ったらどうなの!!」
騒ぎを聞きつけ団長が慌ててやってくる。何も言えないシルビアと怒りに言葉を乗せるニコスの間に入るとニコスを宥めた。
「ニコス、やめなさい。シルビアさんだってどんな気持ちか…!ニコスの言いたいことは分かる。私だってサランが心配だが1番責任を感じているのはシルビアさんのはずだ。」
シルビアは団長の肩に手を起き首を横に振った。
「サランを守れなかったのは事実よ…実は大樹が落ちた日…」
シルビアはサランが傷ついた魔物の怪我を治したこと、その子に懐かれて一緒に行くことになったこと。