第58章 笑顔を届けるために
シルビアはダーハルーネから人々を助けて周りホムラの里へ向かう途中でサマディー王国に戻っていた。サマディー王国も以前のような活気は消え失せ、人々は悲しみや苦しみを抱えている。新人芸人パンチョに最後の公演を手伝って欲しいと頼まれシルビアは持ち前の明るさで公演を手伝ってくれる人を連れてサーカステントに戻った。
サーカステントに戻ると懐かしい顔ぶれにほっとする。みんなもシルビアが生きていたことをとても喜んだ。
ただ1人、ニコスを除いて
ニコスは仲間からシルビアが戻ったと聞いて走ってやってくる。シルビアの周りを確認するようにキョロキョロと辺りを見回した。
「シルビアネェさん…サランは?一緒じゃないの?」
その問いにシルビアは答えない。答えられなかった。
「ごめんなさい…はぐれてしまって、あの子が今どこにいるか分からないの…」
ニコスは驚いたのと同時に言い様のない怒りを覚えた。