第57章 歌姫とホワイトパンサー
するとユキが前に出てきた。
「ユキ?」
ユキは背中に乗らないか?と言いたげに自分の背中を見てサランを見つめる。
「いいの?」
ユキはガル!っと返事をした。ユキに跨り乗ると、ユキは走り出した。かつてサーカスに預けたシリウスを懐かしく感じる。
「そういえば、サーカスのみんなは無事なのかな…」
どうかニコス達も無事でいてと祈った。
近くに街はないかと道なりを進むと見た事のある光景が広がってきた。
「ソルティコ?」
ここへ行った時は町に入ることがなかった。とにかく今、世界がどうなっているのか確かめなくてはならない。サランはユキから降りると少し待っていて欲しいと頼んだ。
しかし、ユキはサランから離れようとはしなかった。
「傍にいた方がいいのは分かるけど…お願い。
町の人はあなたを見たら怖がるわ。ユキが傷つく所は見たくないの。私は大丈夫だから。」
ユキの頭を優しく撫で、ユキも大人しくそこで待つことにした。町に入ろうとした時に遠くから喧騒が聞こえる。サランは聞こえた方に走った。どうやら誰かが魔物と戦っているようだった。