第55章 前夜
ベロニカがカバンから横笛を取り出し見つめ始める。
「あら?ベロニカ。あなたも楽器を?」
ベロニカは首を横に振った。
「これは長老からもらったお守り。セニカ様がラムダの地に残したと言われてるものよ。」
シルビアが手を叩き寝ようと提案する。
たしかに随分と夜が更けてきていた。
みんなはテントに入り眠る準備をする。
各々、簡易的な布団に入ると眠っていった。
みんなが寝静まった時、サランはむくりと起き外に出る。シルビアからもらった短剣を握りしめて空を見上げる。
長老から言われた言葉が引っかかりなかなか寝付けることが出来なかった。
「私の…数奇な運命…。勇者とは何が違うのかな?」
はぁっとため息が漏れる。