第55章 前夜
そういえば、シルビアとも出会った日はこんな輝く月の日で歌を聞かれたのもこんな日だった。
「みぁ?」
声に驚き振り返るとテントからユキが出てきた。
「ユキ…起こしちゃった?」
ユキはクルクルと喉を鳴らしあくびをしている。
サランはユキを抱き上げると子守唄を歌いながらあやした。
ユキはウトウトとサランの揺れに心地良さを感じ眠りについた。
(そういえばあの時聞いたセレーネというのもなんなのか分からない…)
月の女神が関係するのかすら分かっていない。
もしも、あの話が自分にもあるならきっと…
「シルビアさんを永遠の眠りにつかせてしまうのかも…。」
それはいやだとまたため息が漏れた。