第50章 さらなる先へ
目を逸らそうにもまるで吸い込まれるように目が離せない。唇がもう触れそうな距離に近づく時、パチっと焚き火が弾けた。
「ふみゃあ~ん」
サランの膝の上でユキがあくびをして寝る体勢に入ろうと動いた。
「あ…ユキ、眠いんだね」
視線が離れ自然と2人は先程いた位置に戻る。
サランは眠そうなユキの頭と背中を撫でた。
一方、シルビアは視線をそらしそっぽを向いていた。
(アタシったら何考えてたの!?
まだそういうことは全てが終わってからって決めてたのに)
抗えないような自然に吸い込まれそうになったことを恥じていた。
顔が熱くなる感覚に戸惑っていると隣から口ずさむような鼻歌が聞こえてくる。
どうやらサランがユキの寝かしつけに歌っているようだ。
その優しそうな横顔にシルビアはまた顔が熱くなる感覚になる。
(…?)
ふと、サランの横顔に誰かの面影が重なったように見えた。まるで慈しむような慈悲深い眼差し。