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月夜の歌姫

第50章 さらなる先へ


ユキは嬉しそうに目を細めた。

「この子、名前とか決めたの?」

「ユキです。雪原で出会った雪の子って、そういえばまだシルビアさんには話してませんでしたね。」

「ユキ…素敵な名前ね。」

ユキから手を離し焚き火に目を移す。
パチパチと音を立てて木が燃える。

「いよいよ、いのちの大樹に行くんですね…
オーブが6つ集まりましたし」

サランは不安そうに声を震わせる。
シルビアは少しため息を漏らす。

「まだあのことが気がかり?」

コクリとサランが頷く。

「あの時双頭の鷲のマークが見えました…
でも、私あのグレイグって人は違う気がするんです。
同じデルカダールの誰か…」

長い金髪にデルカダールのペンダント、双頭の鷲のマーク。

「それを確かめるためにもいのちの大樹に行きましょう?」

シルビアはサランの手に自分の手を重ねる。
サランはハッとしてシルビアを見つめた。
優しく深い綺麗な瞳で見つめられるとイヤでも鼓動が早くなる。
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