第45章 英雄と魔女と勇者と
魔物はゆっくり膝から崩れ落ち、霧となる。魔物から不思議な光が現れどこか遠くへ向かって行った。
「次は貴様だ…!」
刃がサランを捉える。
(戦いたくなかったけど…)
サランは扇に手をかける。構えようとした時、ブレインが剣を構え飛んできた。
「何!?悪魔の子!?そうか、それなら納得だ。悪魔の子なら魔女と繋がってても不思議ではない。
さぁ!姿を現せ!」
突如サランが何かを察知して振り返り歌い出した。
それは言葉とは違い、ただコーラスを奏でるかのように声を上げる。
サランの顔つきが変わり、目は銀色に光り始めた。
「なんだコイツ!?いきなり歌いだして、気でも狂ったか!」
「サラン!?声が…!」
サランは一心不乱に声を震わせメロディを紡ぐ。
そこには意思があるのかすら怪しい。
グレイグがサランに剣を振り下ろすとガチンと音がして剣が弾かれた。
なんと、銀に輝く光の膜がサランとブレインを包み込むように覆っている。
「これは…一体…。」
グレイグは幾度とガンガンと剣を振り下ろすが2人に届くことは無かった。