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月夜の歌姫

第45章 英雄と魔女と勇者と


黒い鎧に双頭の鷲が描かれている男が戦っているように見えた。

(あのマーク!?)

夢に出てきたマークにサランは驚愕する。

「グレイグ!?まさかデルカダール兵だと思ったけどまさか隊長がグレイグだとは…」

2人は構える。

「ねぇ…ブレイン…さん。
あの魔…物、敵…じゃない……気がする。
助け…なきゃ…。」

サランの目にはその魔物は金の光のオーラみたいなものを纏っているように見えた。

「おのれ…!魔女の手先め!!」

(魔女の手先?そんなはずは無い…!)

そんな気がしてサランは走りだしグレイグと魔物の間に入る。突然現れた女に、対峙していたグレイグと魔物の動きが止まる。
サランの被っていたフードがひらりと脱げた。

「…貴様!?なんのつもりだ!?」

グレイグは剣を構えたままの体勢を維持する。
しかし魔物はサランにお辞儀をするように1歩下がり頭を下げた。

「やめて…!」

「どけ!そいつは魔女の手先だ!
どかないなら、一般の娘でも容赦はしない!
それともお前が魔女なのだな!
どかぬなら…!」

(そんなはずない…!この魔物はほかの魔物と違う…
それにこの人と戦いたくはない…)

しかし、グレイグは跳びサランを飛び越え魔物を切りつける。

「……!?」

サランが振り返ったところで遅かった。
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