第4章 噂の王子様
今も少し先の空いてるスペースでジャグリングの練習をしているシルビアをボーッと見つめる。
「…ははーん。サラン、あなたもしかしてシルビアおネエさまの事が?」
ニヤリと笑いニコスが耳元で囁く。
「ちが…!そんなんじゃないよ!
シルビアさんはただの恩人で、それ以上でもそれ以下でもないから…!」
サランの心の奥がチクリとうずいた。
「ふーん…でも、ほんとに好きじゃなかったらサランに男の1人や2人話題に上がってもいいはずなんだけどね。
昨日も町兵に告白されたんでしょ?」
驚いて後ろに下がったらガタンと洗濯カゴをかかとで蹴ってしまった。
「ニコス!?どうしてそれを!?」
慌ててカゴからこぼれた衣類を集める。
「そりゃ、サランだもん。
呼び出されてたとこ見てた子が言ってたしね。」
「見られてたんだ…」
サランはハァっとため息をついた。
「サランも、もういい大人だしそろそろ誰かと付き合ってみたら?
歌姫として実力あるうちが華よ?」
「うぅ…そうだけど」
もちろん、サランだって素敵な男性とお付き合いしてみたいという気持ちもある。
しかし誰彼構わずというわけにはいかない