第42章 自分に出来ること
まるで子犬みたいにすりすりしてるのをみてシルビアは優しく笑った。
サランが愛しくてたまらない。
「だいぶ…楽には…なりま…した。」
先程より声にも張りが出てくる。
その様子にシルビアもほっとして笑みを浮かべた。
「そう、よかったわ。」
「みなさん…は?」
「今、遺跡で行方不明だった人が解放されて大事になっちゃってね。
村の人に説明して回ってるわ。」
「メルトア…倒せた…ですね…」
ホッとしたようにふぅと息を吐く。
「えぇ…あなたのおかげでね?」
サランは力なく首を振った。
「そんな…こと…ない…です。
私だけ…なにも…できな…かった。」
シルビアの顔つきが変わる。
いつにも増して怖い顔をしていた。
「なんで、サランはそうやって自分に力がないと言うの?
あなたがいなかったらアタシたちだってやられていたかもしれないのに。
サランの歌がメルトアを止めてくれてたから…」
その先の言葉に詰まり、シルビアはサランに覆い被さるように抱きしめる。
「少しは、自分を認めてあげてよ。
サランは弱くないわ。アタシが保証する。」
つうっと一筋の涙がサランの頬を伝った。