第42章 自分に出来ること
「やっぱり連れてこない方が良かったかしら…
でもこの旅をしなかったら、サランの気持ちもアタシの気持ちも分からなかったし…。」
サランを連れてきて正解だったのか不安になる。
「守るつもりが守られちゃって…騎士失格だわ…。」
握る手をじっと見つめていると、サランの手にはぽつりぽつりとマメが出来ていた。
知らない間にサランは少しずつ強くなっている。
小さな後ろをついて歩いてたあの子は横を並んで歩き知らぬ間にさらに遠く前へと進んでいる。
それがとてつもなく不安で仕方なくなっていた。
ほどなくして、シルビアは特薬草を寝ているサランに使った。
キラリと不思議な力が働きボロボロだった体のキズがゆっくり消えていく。
多少寝たことも回復に繋がったのかサランは、先程よりはしっかりとした眼差しで目を覚ます。
「おはよう、サラン。気分はどうかしら?」
優しく頭を撫でて頬に手を当てる。
サランは大きく温かい手で撫でられるのが大好きだった。
子どもの時みたいにニコニコと心地よく目を細めシルビアの手に頬を擦り寄せる