第41章 枯れた声
その表情を読み取ったのかサランが続ける。
「シル…ビア…さん、なにも…悪く…ない…です。
自分、責めない…でほし…い」
「サラン…でもアタシがメルちゃんを疑わなかったから…
あなたにメルちゃんを預けたばかりに」
「…………」
サランは、じっとシルビアを見つめる。
「…それ、は…シル…ビア…さんが…優しい…てこと…です。
私を…信頼…してくれ…た
……覚えて…ますか…?
私と…初めて…会った…時の…こと…。
私、シルビア…さんが…手を…さしのべて…くれた
あの時、シル…ビア…さんの…優しさ…に…助けて…もらった。じつは…とても…うれしかった…
だから…シル…ビアさん…そのまま…やさしく…素敵…なの…です」
サランの言葉にシルビアは一筋の涙を流す。
「ありがとう…もう喋らないで。
今は静かに休んでて。」
サランはこくんと頷き布団からゆっくり手を差し出す。
「?」
「手…にぎ…てて…ほしい」
シルビアはベッドのそばに膝立ちをしてサランの手を優しく包んだ。
「シル…ビア…さん、あり…がとう」
サランはようやく、安心したように微笑み目を閉じた。
「ありがとうというのはアタシなのに…。
…サランには、悪いけどもう戦ってる時に歌ってほしくは無いわ…
やっぱり、あなたがどこか行ってしまうのではないかと思うとアタシ怖い。」
シルビアはサランと出会ったあの夜のことを今でも忘れたことは無い。