第41章 枯れた声
シルビアとセーニャは宿に着くとベッドにサランを寝かせる。
「セーニャちゃん、サランはどこまで弱ってるのかしら?」
セーニャが軽くサランの体を診てくれた。
「だいぶ、弱っています。
一歩間違えてたら…。多分、私たちがサラン様を探している時には既にメルトアによって衰弱させられてたのかと。」
「じゃああの時すでに…」
「えぇ…本当は私たちを加護する力はなかったと思います。今は安静にしていただき、体力を回復させることの方が優先かなと。」
「分かったわ。セーニャちゃん、ありがとう。」
「では、私は薬草やサラン様の回復のサポートになる薬を集めてきますね。」
「えぇ、お願いするわ。」
セーニャが部屋を出ていきパタンと扉が閉まる。
シルビアはハァとため息をついて、うなだれた。
「だい…じょ…ぶ…で…すか?」
掠れて音にすらならない声が聞こえた。
その声にシルビアがハッとしてサランを見る。
「サラン…声が…」
シルビアが唖然としているとサランは力無く声無く笑った。
「ちょ…と、ムリ…しちゃ…た。
こん…な声…じゃ…うた…ひめ…じゃない…です…ね」
サランの笑顔が痛く突き刺さる。
サランは悪くない。自分のせいで彼女を危険な目に合わせてしまった。