第39章 少女メルの正体
サラン自身は嬉しさと安堵と悔しい思いで胸がいっぱいだった。
(来てくれた。みんなが助けに…でもなんで来ちゃったの。ここは危ない、早くみんな逃げて)
声を上げるにも体力がなく訴えることが出来ない。
そうしてる間にメルは高く笑いその本性を現した。
「我が名は美と芸術の化身メルトア、その真の姿を眼に焼き付けるが良い。」
そう言うとメルトアは魔物のような大きな女として現れる。
「やっと元凶のおでましね!人を唆して引きずり込み丸呑みにする…やっぱり悪趣味よ!」
ベロニカのブレない発言にサランはすこしほっとする。
不安げにセーニャがなぜこんなことをしたのかと問うとメルトアは人間など美の1部に過ぎない。
そんな1部になれることすら感謝すべきだろうと語った。
「あの方より賜わった次元を超越する力…
なんと素晴らしい…浅ましき人間共を救ってるのだぞ
そう、永遠という。まことの幸福と知るが良い。」
メルトアはブレイン達に襲いかかってきた。
「みんな構えて!」
マルティナの合図に全員が戦闘態勢に入る。
ーーカカカカ、せいぜい足掻くがいい。塗料風情が。
メルトアは鍵をキラッと光らせるとカミュを魅了する。
「くっ…なんだこれは」
カミュは頭がぼーっとし次第に表情が虚ろになる。
「カミュ!!」
カミュはしっかりとした足取りでメルトアの方へ行くとブレイン達と対峙する。
「どうしよう、カミュ様が魅了されちゃいました…」
セーニャがあわわと声を漏らす間もなくベロニカは臆することなく躊躇わずメルトアへ魔法攻撃を仕掛ける。
ーーうぅ、おのれ…
攻撃をくらったメルトアはベロニカにバチンとデコピンを食らわせた。