第38章 壁画の中の世界
絵があった場所の先には道が続いておりブブーカたちはゆらゆらと立ち上がり歩き出した。
「危険な匂いがぷんぷんするわ、早くサランとメルちゃんを探し出して早く出た方がいいわね。」
シルビアたちはブブーカの後を追うように歩き出した。
その数十分前
ーーカカ、なかなか強情よのう?
そろそろわらわの一部になれば良かろうに
サランは頭上から聞こえる声には答えず、銀の膜に以前包まれたままボーッと立っている。
ゆっくり目を閉じると銀に輝いていた瞳はいつもの色に戻り銀の光の膜はゆっくりと体に吸い込まれる。
セレーネそろそろ起きたらどうだ?
サランの頭に男の人の声が浮かんだ。
優しくどこか懐かしい、カミュの青年のような声やシルビアみたいな高く優しい声とはまた違う。
何故そんな声が頭に響いたのかは分からない。
ただ、今はそんなことを考えても状況は有利にならないと悟る。
「…………」
ーーまぁいい、今のそなたの色は眩しすぎる。
色が落ち着いたら取り込もうとしよう。
ゆっくりと茨は塞がれていた道の先へとサランを送る。
サランは静かに動かずにいる。
サランはハッとして辺りを見回す。
自分は確か…茨にやられるとこだったような…と記憶をめぐらせるが断片的でしか分からないところがある。