第38章 壁画の中の世界
セーニャとは対象的にベロニカは、じろりと壁画を睨みつけた。
「どこの誰なのか知らないけど、ちょっと自己主張激しすぎじゃない?」
ーーこの美しさが分からぬとは、子どもとはいえ愚かよのう。
どこからともなく女の声がする。
声の主が誰なのかキョロキョロとするとまた声が響いてくる。
ーーどこを見ておる、こちらじゃ愚か者ども。
カミュ見ろと指を指す。
カミュが指さした先は絵に書かれている女の目が光りギョロっとブレイン達を見下ろす。
「…絵が!?」
「動きました!」
ベロニカとセーニャがギョッとする。
ーーひぃ、ふぅ、みぃ…ふむ、7色か
汚い色ばかりで飽いていたところだ。
ようこそ、我が世界へ。歓迎するぞ。
女はその中の一人、ちらりとブレインを見つめた。
ーー特にお前…。他の者とは違うな。
いい色になりそうだ。
あの小賢しい女と合わせるといい色になるだろう。
その言葉にシルビアがぴくりと反応する。
「女って…まさか、サランのこと!?」
ーーカカ、さぁな?そんなに慌てるでない。先だってわらわに魅了された者共同様、残らず吸収しわらわの美の1部にしてくれよう。
「お前が吸収だと…?おい!そりゃどういうことだ!
じゃああいつは!?」
ーーどのような色になるか楽しみにしておるぞ。
カミュの言葉を聞いていなかったように絵は喋り出し消えていく。