第3章 サーカスの歌姫
開けてみて、とか開けていいとか何がしたいんだこの人は…と少しの呆れも混ざりつつサランは包みを開けた。
中には真っ白な布が入っていた。
真っ白な布を広げるとその布はワンピースだった。
キラキラとした絹で作られ肩は出ているものの綺麗でゆとりのある上品なデザイン。
「これ…」
「シルビア姐さんと話し合って団長にお願いして作ってもらったんだ。
せっかくステージに立つんだからいつもの服じゃなくて綺麗な歌姫らしい服がいいんじゃないかって」
ニコスが照れたように笑った。
サランの歌声をまだ二コスは聞いたことがなく、何でサランがステージに立つか分からないがそれはニコスにとっても嬉しい事だった。
だからか、シルビアにどんな芸でステージに立つか教えてもらい2人で団長を説得しワンピースも一緒に選んでいた。
サランはワンピースを抱きしめると嬉しさで涙を流した。
「ありがとう…ありがとう…私、今夜のステージ…!」
ポロポロ流れる涙をニコスは指で優しく拭う。
「ほら!早く着替えて見せて!
サランの綺麗な薄ピンクが栄えると思うんだ!」
「分かった!」
ニコスの言葉にサランは立ち上がって衝立の後ろに隠れた。
作業用に着ていた服を脱ぎ、贈り物に袖を通す。
「終わった?」
ニコスがわくわく、ソワソワしながら声を上げる。
「まって!もうすぐ終わるから!」
「フフ、サランちゃん慌てなくていいわよ〜」
シルビアも言葉とは裏腹に今か今かと楽しみにしてちる。
着替えが終わり衝立から出てきたサランを見た2人は息を飲んだ。