第35章 賑やかな壁画の町
そこには遺跡に描かれている美女のことも書かれていた。
「幸福ねぇ…なんだかうさんくせーな?
まぁいい、何か分かるかもしれねぇんだろ?」
カミュが呆れたように腰に手をあてる。
それを見たマルティナがクスッと笑った。
「確か遺跡は真っ直ぐ道なりに進めばあるはずよ。
メダル女学院の時みたいに手分けして情報を集めましょう。」
一同はバラバラになり聞き込み調査を始めた。
金持ちになりたい、モテたい、強くなりたい、長生きしたいと壁画の噂を聞きつけてやってきた人が多い印象を受ける。
そんな村を歩いているとサランは防具屋と武器屋を見つけた。
「いらっしゃい、うちは武器ならなんでも揃ってるぞ!」
そういえば、あれから戦いっぱなしで防具や武器がボロボロになってきたと思い出す。
(この際、みんなの武器や防具を買い揃えておこうかな)
「この剣と杖とツメをください。
あ、あとこの武器を売りたいです。」
サランは使い古した武器とお金を渡し、新しい武器をカバンに入れる。
上を向いた時、ふぁさっとフードが脱げサランの顔が露になる。
その顔を見た店主は驚きを隠せなかった。
「あ、あんた!あの歌姫の!?」
そうだった。サランはしばらく忘れかけていた自分の肩書きを言われ驚く。
「あ、えっと…人違いじゃないかしら?」
フフっとイタズラっ子の様に笑いその場を後にする。
(忘れてた…。)
気分によって歌うことから離れているわけではなかったがしばらく誰かに歌姫と言われることがなかったのでサランは不思議な気分になる。