第34章 重なる気持ち
サランがふと空を見上げるとそこには旅を始めてから何度目かの満月がそこには浮かんでいた。
「わぁ!今日は満月だったんですね。」
その大きさにサランは感嘆の声を上げる。
シルビアが立ち上がりサランの隣に並ぶ。
「あらぁ。ほんとね!素敵な夜だわ。」
月を眺めるシルビアの横顔をちらりと見る。
やはり目鼻立ちが整いその横顔はとても綺麗だった。
「…?」
シルビアがサランを見たためパチッと視線が絡みの心臓はドキッと胸を打った。
ずっと一緒にいるのにその綺麗な顔に、真っ直ぐ見つめる瞳には慣れない。
この前、告白を受けて正式にお付き合いしているのが未だに夢みたいで不思議な感覚になる。
シルビアから貰った真珠が付いている短剣が付き合っていると夢だと思う今の状況を現実だと教えてくれる。
ただ、その短剣を使うことは無いとサランは思っていた。
まだ、最初に貰った短剣で戦える。
自分には扇もある。
だから大丈夫だろうと信じていた。
彼女は信じていたいと思った。