第33章 幽谷の怪鳥
歩みがゆっくりとなるためみんなとの距離が段々と離れていくことにマルティナが気にして立ち止まってくれた。
「サラン?どうかしたの?」
「え?あ…」
ルナリアは前を向き初めてその距離に気づいた。
「あ、いえ…なんでもないです…。」
パタパタと駆け足でマルティナの元へ行き並んで歩く。
「ねぇ、サラン?」
「なんですか?」
「あなた、なにか隠してないかしら?」
「え?えっと…何を?」
サランがわざとなのか本当に分からないのかは分からないけど何となくそんな気はするとマルティナは説明する。
「まさか、そんなことないですよ。
ただ…」
「ただ?」
「ただ、オーブを集めたあと本当に魔王を倒したらこの旅が終わる。
きっと終わったあと、皆さんは使命を果たして新たな生活になる。
その時、バラバラになってしまうのかと思ったらなんだか寂しく思えて。
まだまだ先の話なのに、私…変ですね。」
ハハッと呆れたように自分を笑った。
「そうね…今、私達には共通の目的や似たような使命のもとこうして旅をしているわ。
終わったあとのことはまだ分からないけど。そこまで考えるのはまだ先でもいいじゃない?」
「……そうですね。」
サランは前を向いた。
みんな思い思いに相手と話しながら前を向き歩いている。