第30章 月の涙
シルビアは少しして村に戻ってきたブレインに声をかけた。
「ちょっとブレインちゃんと話してくるわね。」
サランがこくりとうなづきシルビアを見送る。
シルビアはブレインと二人で話したいとマルティナとベロニカに頼み、2人で村の外れへと向かった。
「シルビアさん、凄く真剣に顔してたわね。なにかあったのかしら?」
ベロニカが不思議そうな顔をして2人の背中を見つめた。
マルティナは困ったようにさぁ?と小首を傾げるだけだった。
ーーーまさかね?
マルティナは村に来たばかりの時のシルビアの言葉をふと思い出してた。
そんなことは無いだろうと分かっていてもつい、考えてしまう。
そんな中、サランは潮風に気持ちよく鼻歌を口遊む。
綺麗な声は海のさざなみと遊んでいるかのように穏やかで楽しげだった。