第30章 月の涙
眠りについても、昼間に寝すぎたのか程なくしてサランの目が覚めた。
痛みもすぐに全快とまでは行かなくとも、動けるようにはなってきていた。
ロミアと話したあとだったからか、船はナギムナー村に戻りキナイをロミアに会わせることなったとアリスが教えてくれた。
「ねえさんはすでに村に戻っていると思いますぜ?」
「ありがとうございます。」
サランは初めてナギムナー村に足を踏み入れた。
サランはナギムナーに入ると酒場にてイスに座り気持ちよさそうに風に髪をなびかせる。
「あ!シルビアさんとセーニャさん!」
大きく手を振ろうとするが痛みには耐えられないのか小さく手を振る。
「もう身体は大丈夫なの?」
「まだ動くと痛みますが、動けないほどではないので。」
シルビアはサランの様子を見て安心したように微笑んだ。