第30章 月の涙
ブレインを呼び出したシルビアは誰もいないことを確認して懇願する。
「ブレインちゃん。不思議な鍛冶でなにか、ものの作り方を教えて欲しいの!」
真剣な表情で声をかけられたので何事かと思っていたブレインは拍子抜けした。
「えっと…何を作りたいの?」
「あ、いや…えっとそれは…特に思いつかなくて…」
モジモジと体をくねらせシルビアは視線を逸らす。
「防具や武器で必要なものがあるなら僕が作るし、武器防具屋さんで揃えることもできるけど?何か必要だった?」
キョトンと首を傾げシルビアの応えを待ってみた。
「……あの、実はね村の漁師から真珠をひとつ貰ったのよ。
それを……大切な人に送りたくて…。」
「サランさん?」
ブレインの言葉にハッとブレインを見つめる。
「どうしてそれを?」
「いや…えっとなんとなく?」
ハハッと困ったように笑うイレブンにシルビアも笑みが零れた。
「えぇ、そう白状するわ。サランちゃんよ。
あの子いつもあたしのサポートしてくれるからなにかお礼がしたくて。」
「なんだ!そんなことだったんですね!
何を送ろうと思いますか?アクセサリー?防具?」
「あ、えっとどうしよう…?」
シルビアは珍しく考え込んだ。