第26章 二人の想い
サランが心配だと言う気持ちもあるが更に追い詰めてしまわないように優しく笑った。
「サランちゃんは昔から隠し事や嘘が下手よね。
何かあったの?少し前…そうねユグノア城を出てから少し落ち着かない気がするわ?」
頭を優しく撫でられ勘弁したのかサランが下を向きため息をついた。
「ちょっと怖いモノを見てしまったんです…。
命の大樹が枯れ果て世界が闇に包まれるような…」
カタカタと肩を震わせるサランにシルビアの優しく大きな手がそっと添えられる。
「そう…それが何を意味してるのかは分からないけど、それならなおさら早く大樹に行かなきゃいけないわね。」
「シルビアさん。もしも本当にブレインさんが悪魔の子だったらどうしよう…」
「……それはないと思うわ。
あの子は優しくて勇敢。それに大樹に選ばれた勇者なんだから。大樹が選んだ人に悪い人はいないわ。」
ね?と微笑むシルビアの胸にサランはもたれかかった。
話をするだけ心が軽くなるが如何せん、不安は取り除けない。
「大丈夫よ。」
その言葉にサランはこくんと頷く。
シルビアの「大丈夫」はいつだって本当に大丈夫だった。
今はその言葉を信じよう。
いずれ、分かるでしょう。何も無かったと。
自分の考えすぎだったんだと。