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月夜の歌姫

第25章 人魚ロミア


女の子は1度、海に潜り勢いをつけ高く飛び岩に座った。

「え!?」

腰から下が足じゃないことにサランは驚いた。
ピンク色の綺麗なうろこが纏ったヒレ。

「まさか……人魚!?」

ベロニカが驚きのあまり声を漏らす。
ブレインは至って驚きもしなかった。
マルティナもサランも驚きのあまり声が出ない。

「驚かせてごめんなさい、私はロミア。
キナイが来たのかと思って飛び出してきちゃったの。」

優しい声で微笑む人魚、ロミア。

「人魚って…伝説やおとぎ話の中の存在だと思ってた…。」

サランはまるで開いた口が塞がらない状態だった。
それにしても顔といい声といい姿と言い、全てが美しい。

「ところでキナイってのは誰のこと?」

ベロニカが腰に手を当てキナイという名前に疑問を抱く。

「キナイはナギムナー村に住む漁師で私の婚約者。
この入り江で待ち合わせをしていて…まだ来ないんです…。」

ハァと肩を落とすロミアになんとなく同情心が湧いた。
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