第22章 魂よ、大樹へ
それを見ていたサランの心が、声が 震えた。
どうか、迷うことなくお導きください
命の大樹とひとつになり
その魂、葉となり見守りください
安らかなる魂よ
御魂の安寧を我ら祈り続ける
ギュッと手を組みサランは祈った。
こんな時に歌うなんてと思ったが胸が優しく暖かく包まれていく。
最後の2匹の蝶を見届けると涙が頬を伝った。
(まだ、もう少しだけそばにいさせて)
誰かがサランの耳元で囁いた気がした。
サランの周りには人がいるが耳元で囁くほど近い距離の人はいない。 辺りを見回しているとシルビアが気にかけてくれたのか声をかけてきた。
「どうかしたの?サランちゃん?」
「あ、いえ…なんでもないです。」
気のせいだったのかな?とサランは首を傾げた。
「あなたの歌、とても優しかったわ。
きっと、大樹へ向かった魂も浮かばれると思うの。
ねぇ…あの歌はどこで?」
「あ、えっと…いつものやつです…
頭に歌が浮かびメロディが喉を震わせ唄になりました。」
「そう…。本当に不思議な子ね、サランちゃんて…。
あのさ?」
「はい?」
「アタシ、サランちゃんのことちゃんと守れるか不安になってきちゃった…。
なんだかどこか遠くへ行っちゃうんじゃないかと時々、不安になるの。」
「そんな…フフ、私はどこへもいしませんよ?
おかしなシルビアさんね。それに世界を救って世界中を笑顔にするんでしょ?
私一人に不安になってる場合じゃないですよ!」
「そうね…」
一瞬、シルビアの眉がピクリと動いたがそれはサランには気づかなかった。