第21章 ユグノア跡地の老人
涙が次から次へとこぼれ落ちサランは止めようともしなかった。
どこか崩壊した国が自分のいた町と重なり、忘れていた…
考えないようにしていた、母の死を思い出していた。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
今更ながら自分が幸せに過ごせていたことが申し訳なく感じてどうしようもない罪悪感に包まれてしまった。
しばらく泣いていると、ポンと肩に手を置かれる感覚でサランの涙は一瞬止まった。
「シ…ル…ビア…さん…」
ひくひくとしゃくりを上げ喋るのもなんとなくままならないサランにシルビアは困ったように笑った。
「大丈夫?なんか、辛くなっちゃったかしら?」
サランは黙りどこか遠くを見ているようにボーッとしていた。
「大丈夫…です。すみません年甲斐もなく駄々こねたようなことしてしまって…。」
「いいのよ。とりあえずあなたに何もなくて」
「どういうことですか?」
「フフフ、秘密♡
さぁ、アタシたちも裏の山に行きましょう。
これから弔いの儀式を行うってみんな待ってるわよ。」
サランは立ち上がってシルビアの後をついて行った。