第21章 ユグノア跡地の老人
ロウが話し終わるとその場にいる一同は墓に祈りを捧げる。
祈りを捧げている時、サランの目から涙が溢れた。
それは誰にも止めることが出来なかった。
ロウはさらに話を続ける。
盟友であるデルカダール王の変心に気がついたと語った。
勇者伝説を信奉していた王が16年前から人が変わったように勇者を悪魔の子と呼び避難を始めていたこと。
自分の娘を死んだ者と話し、勇者に殺されたと広めたと。
「そんな…でも勇者って当時は赤ちゃんだったのでしょ?」
サランが涙を拭いながら口を挟んだ。
「さよう、だからわしには王が正気であるとは到底思えない…
盟友王の変心と亡命国の真相を必ず解き明かして見せると誓ったのじゃ…」
ロウは拳を握りわなわなと震えた。
しかしその拳を優しく開くとお墓に話しかけた。
「エレノア、アーウィンよ…喜べ
お前たちの息子は元気に生きておったぞ。」
ロウはそう言うとボロボロと涙を流した。
「ごめんなさい…私少し席を外します。」
サランがお辞儀をして踵を返し安全な少し離れた場所で腰を下ろした。