第2章 小さな蕾
(一体、どんな経験をしたらこんなに怯えるようになるのかしら…?)
カタカタと震える少女…
昨夜まで盗みをしていた彼女の目は怯えている。
「まだ、心を開けたとは言えないわね…」
ふぅとため息をついた時ドアを叩く音が響いた。
すぐに男性の声が響く。
「シルビアさん、起きてます?ご飯食べますか?」
「あら!もうそんな時間なの?ちょっと待ってねすぐに行くわ!」
そう言ったが、チラリとサランを見る。
こんな状態でみんなの前に出すわけにもいかない。
余計怖がらせるだけだと思った。
「あ、ごめんなさい!やっぱり2人分持ってきてほしいわ!」
「分かりました。」
淡々と応える男の足音が遠ざかっていく。
「あなたも食べるでしょ?朝ごはん。」
シルビアはサランに向き直るとニコリと微笑んだ。
シルビアの質問にこくんと小さく頷く。
それを見たシルビアはまた優しく笑った。