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月夜の歌姫

第16章 アラクラトロと軟弱な優しい人


しかし、様子がおかしかった。
ハンフリーは突如胸を押え蹲り苦しみ出す。

「クソ…こんな時に…」

その様子を見ていたロウが呆れたように首を横に振った。

「やれやれ…自分の身体のことすらわかっていなかったのか…。力を求めればそれなりの代償は生まれてくる。」

その言葉にハンフリーは力なく笑った。

「情けないな…魔物に頼ったバチが当たったんだろう…」

ガクンと膝から崩れ落ち様子を見ていたラァラが飛び出した。
その後をサランが追う。
ラァラはハンフリーに駆け寄った。

「ハンフリーお兄ちゃん!!」

「ラァラ…なぜここに…?」

苦しそうに悶えるハンフリーを心配そうに見つめ、手を握る。

「ハンフリーお兄ちゃんがいなくなっちゃうと思って…」

「すまない…」

ハンフリーが握られてない手で優しくラァラの頭を撫でた。
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