第16章 アラクラトロと軟弱な優しい人
その後ろではアラクラトロがニヤニヤと笑っていた。
「あの部屋を見たのか…」
「その通りだ、人間よ。
16年前にグレイグによって受けた傷を癒すためのエキスを集めるためにこの男を利用したのだ。
我が体の傷を癒し、人間が飲めば最強の力が手に入る。この男は誘いに乗ったまでだ。」
「勝ち進み金を手に入れるためには強くならなければなかった。
孤児院を守るためならなんだってするぜ。」
その言葉を岩陰から聞いていたラァラがショックを受けていた。
思わず飛び出そうとするラァラの肩をサランはガシッと掴んだ。
「まだ行っちゃダメ。危険よ…。」
「ハンフリーお兄ちゃん…なんで…。」
ラァラの目にはじんわりと涙が浮かぶ。
サランはラァラをそっと守るように抱きしめる。
「こんな所を見られたんだ生きて帰せないな…」
ハンフリーがブレインたちに攻撃をしようとした。