第16章 アラクラトロと軟弱な優しい人
奥へ進むと重々しい扉があり中から誰かが話している声が聞こえた。
「アラクラトロ様」
微かに聞こえた声はその名前を叫んでいた。
後ろについて来ていたラァラが声を上げる。
ホッとしたような緊張したような面持ちで扉を見つめる。
「ハンフリーお兄ちゃんの声だ!」
カミュとブレインは扉を開け先へと進んだ。
ほかのメンバーもあとへ続く。
中に入るといくつかの繭がたれさがっていて巨大な蜘蛛の魔物とハンフリー、そして攫われていたマルティナが対峙していた。
「ご苦労じゃったマルティナ姫よ」
ロウの言葉からして2人が失踪事件を調べていたことがわかる。
「すまないがちょいと部屋を調べさせてもらったわい。
どうやらお主が失踪事件の犯人のようじゃな?お主が飲んでいたものが失踪事件と関わりがあるのではないかと思ってたんじゃ」
ハンフリーは諦めがついたように肩を下ろす。