第14章 サランの約束
誰かと思い少し早歩きで階段を降りる。
声の主らしき人物たちは孤児院のある教会に入った様だった。
シルビアはまぁいいかと思いサランを探しに反対方向へ歩いたが、サランは見つからなかった。
来た道を戻り先程の話し声が誰か気になったのでシルビアは教会へと足を運んだ。
微かだが歌が聞こえてくる。
それはよく聞く歌声だった。
(なんだ、ここにいたのね)
シルビアはそっと扉を開け中に入ると息を飲んだ。
まるで天使の羽が生えた様な光に包まれ歌うサランの姿にかすかな安心感と、とてつもない不安感を覚える。
行かないで、まだそこには行かないで
行ってはダメ
お願い…!
やっと出た震える喉に力を入れてシルビアは彼女の名前を呼んだ。
サラン