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【R18】コナン短編集【赤井秀一・降谷零】

第1章 Du sollst an mich denken


降:「上官や部下という上下関係の前に、僕たちは「この国を守る」という使命に集った仲間です。この使命に基づいて判断されたことに、誰が「命令違反」として罰を与えられるでしょうか?」

『…』

僕の予想外の言葉に、彼女はどう答えて良いか考えているようだ。
場面に応じて熟考する所は、やはり参謀役に適任だなと僕は思う。
僕は声のトーンを一際落として、話を続ける。

降:「川崎さん。今日、君を呼んだのは昨日の試験結果と君の将来を踏まえた話をする為です」

『はい』

降:「今回の君の行動について、我々は不問に伏すと決断しました。君の判断は、被害を最小限にするために迅速かつ的確な物でした。この点を考慮しての判断です。そして卒業試験についても、合格とします」

僕は一度、言葉を止める。
彼女は意外そうな表情をしているが、声を上げずに僕の言葉を待っている。

降:「しかし、心に刻んでおいてください。君がこれから進む道は、同期たち以上に険しい道のりであることを。今回の結果について、上官だけでなく同期たちからも疑問に思う者も現れると思います。実際に、この判断を下す経緯においても、そう言った声は上がりました。まだまだ、この組織は上下関係に厳しいですから。ただ、君は賢明な判断を下しながら、今後もこの組織で成長していく力を秘めていると僕は思います。この3ヶ月間、僕は君の強みは幅広い情報収集力と、それに基づいた戦略の緻密さだと思っていました。しかし、昨日の君は僕たちに新しい一面を見せてくれました。それは、柔軟性です。決まった戦略や指示ではなく、目的を達成するために柔軟に動く力。君は本当にバランスの良い捜査官になると思います。君らしさを大切に。期待しています」

僕は一気に伝えた後、彼女の表情を伺う。
驚いた表情をしていた彼女だったが、晴れやかな表情にドンドンと変わっていく。

『承知しました!勿体ないお言葉をありがとうございます!』

彼女は先ほどとは打って変わって、自信に満ち溢れた声で僕へ返事した。
僕はその返事に満足し、最後に彼女へ声をかける。
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