第2章 Trick or Treat !?
『降谷さんが選んでくれたから、嬉しくて着たんです!』
僕の予想を超えた返答が、僕の耳に届いた。
川崎さんは頬を赤らめながら、僕と目を合わせようとしない。
その姿があまりにも可愛くて、僕は躊躇うことなく彼女を抱き寄せていた。
一瞬の出来事に、僕の腕の中で体を硬直させている川崎さん。
僕は、彼女の緊張をほぐす様に背中を撫でながら、そっと耳元に唇寄せて囁いた。
降:「あーもう。君って、本当に可愛すぎるよ」
その言葉に一瞬だけ、体を震わせた川崎さん。
しかし、すぐに彼女の体の緊張は解れていった。
『ふ…るやさん…これって…』
降:「ここまで僕にさせといて、まだ惚けるの?本当に君って、あざといね…まぁ、そういう所も含めて好きなんだけど」
『え?』
降:「ん?」
『あ、あの…降谷さん、それって…』
明らかに様子がおかしくなる川崎さん。
降:「どうかした?」
『降谷さん、部下以上の気持ちをお持ちってことですか?』
降:「そうだけど?だって、前に言ったじゃないか。『末長くよろしく』って」
『た…確かに言いましたけど、あれは、仕事のパートナーとしてで…』
みるみる慌てていく川崎さん。
なんとかして僕の腕から逃れようと、もがいている。
僕はさらに腕に力を込めて、彼女を逃さまいとした。
(ここまで言って、僕が逃すわけないだろ…)
降:「そっか…じゃあさ、もう一回言うよ」
そこで一度、僕は言葉を止めて、彼女の顎を掴み視線を合わせる。
何が起こったのかわからない様子で、瞬きを繰り返す川崎さん。
降:「川崎さん…プライベートも含めて、末長くよろしく」
そう言って、僕は彼女の頬にキスを落とした。
僕のありったけの想いを込めて。