第2章 Trick or Treat !?
『今回も申し訳ございません!』
RX−7の車内に戻って来た僕たち。
川崎さんは色々と質問したい様子であったが、第一声で謝罪を述べる。
(このやり取りは、何度目だろう)
半ば恒例行事となりつつある川崎さんの謝罪。
その姿を見ながら、僕は苦笑する。
降:「無事に摘発できたから、問題ないけど…今回も後始末が大変だろうね」
『うぐっ…やっぱり…』
後始末をするのは風見であって、僕は何も手を下すわけでもないのに、わざとらしく僕は答えて見せる。
案の定、川崎さんは見るからに落ち込んだ。
その姿があまりにも愛おしく思え、僕はさらに揶揄いたいと思う気持ちに火がついた。
しかし、これ以上は止めておく。
今回はFBIの仮装をした組対にも非はあるし、僕自身も川崎さんに組対メンバーがどんな仮装をしているか告げていなかったからだ。
降:「何はともあれ、君が無事で良かった」
僕は、俯いている川崎さんの頭をそっと撫でながら、優しい声音で労いの言葉をかける。
それに気づいた川崎さんが、すぐに顔を上げた。
その顔は、疑問に思っていることを聞いても良いかと伺う様な上目遣いだ。
(その格好で、その視線は反則だよ…)
僕は自ら用意した衣装と川崎さんの魅力の掛け算に、理性を飛ばしかける。
『降谷さん?』
僕がマジマジと彼女を見つめたまま、黙ってしまったためだろう。
疑問に思った川崎さんが、さらに僕に近づきながら声をかけてくる。
降:「質問は1つだけ!」
僕は慌てて、返事をする。
『え?1つですか!?』
降:「当然だよ。君自身の成長のためにも、自分で調べられることは調べないと。これも訓練のうち!」
僕は理性を飛ばしそうになっていることを悟られまいとして、あえて「訓練」という言葉を使う。
『承知しました…でしたら…』
少しだけ考える素振りをする川崎さん。
僕は、彼女の口が開くのを黙って見守っていた。
『どうして私の衣装、これにしたんですか?』
降:「へ?!」
僕は間抜けな返事をしたまま、しばらく口を閉じることができなかった。