第2章 Trick or Treat !?
僕たちの姿を見て何を勘違いしたのか、慌てて逃げようとする風見。
どうも風見の角度からは、僕たちがキスしているように見えた様だ。
川崎さんの口を塞いでいた手を外して、すぐさま風見の服を掴む。
ふいを突かれた風見は、少し躓きそうになりながら僕たちへ踵を返した。
降:「風見。僕がここに侵入する時に待機している応援チームへ、突入指示を出しておいた。後のことは任せたぞ。何かあったら、連絡をくれ」
僕は風見の誤解を解くことはせず、指示だけを伝える。
いち早く、川崎さんをこの場から連れ出したいと思ったからだ。
風:「承知しました」
風見も察した様で、短い返事のみを返してくる。
川崎さんの手を引いて、出口に向かおうとした僕は、ある事を思い出して振り返る。
降:「風見。組対のメンバーには、厳重注意を。FBIの仮装は、ふざけている様にしか見えないから」
隣に居た川崎さんが驚いた顔をしたが、僕はそれを意に介さず足早に出入り口に向かっていく。
出入り口で、見張り役の組対メンバーと出会った。
僕は「急病になった川崎さんをすぐに病院に運びたい」という理由で、職務質問を逃れて会場を後にした。