第2章 Trick or Treat !?
風見がつけた印を見つけて地下へ入った僕は、地下室を満たす独特の匂いに気づいて口元を手で覆った。
薬物耐性をつけている僕でさえ、一瞬だけ目眩を起こしそうになったからだ。
(新種の薬物か…懲りない奴らだな)
そう思いながら、僕は川崎さんと風見を探す。
モニターを確認する限り、近くに居そうだ。
しかし、室内は薄暗い上に全員が仮装しているので、すぐに見つけることができない。
すると僕の目にFBIの仮装をした人物たちが、倒れている姿が目に入った。
僕と同様に薬の耐性をつけている彼らが、中毒に陥るとは考えにくい。
降:「どうしたんだ?」
その場に駆け寄ろうとした僕は、すぐに足を止める。
倒れた人たちの奥から、また、次々と人が倒れていく光景が見えたからだ。
降:「一体、誰が?!」
人が次々と倒れていっているのに、周囲の人間たちは気に留めていない。
室内にいる人間の多くが、薬物を使用しているから気づいていないのだろう。
その場に駆けつけた僕は、次の瞬間、怒りを通り越して諦めの境地の声を漏らした。
降:「君って…本当に…」
『え?その声は、降谷さん??』
降:「川崎さん…何しているの?」
僕の目の前に居たのは、FBIに仮装した組対のメンバーやターゲットたちの区別なく、気絶させている川崎さんだった。
『急に、手を引っ張られて、ビックリしてつい…。そしたら、FBIの仮装した人たちが次々と私向かって来たので、驚いてさらに…』
降:「とにかく、君が無事で良かったけど…あれほど、一般人として振る舞ってと言っていたのに…」
『申し訳ありません。でも、FBIの仮装したふざけた人たちが私を助けてくれるとは思わなくて…』
降:「うん…そうだね。僕もそう思っちゃうよ…でもさ、こいつら組対のメンバーだから」
『えっ…んぐぅ…⁉︎』
本日2度目の川崎さんの叫び声を済んでのところで、僕は塞ぐ。
手のひらで彼女の口を覆いながら、僕は空いた手で彼女の腰を抱き寄せる。
彼女の無事を実感したいと思ったからだ。
すると、後方で風見の驚いた声が聞こえて来た。
風:「降谷さん…見つかって…うわぁっ…失礼しました!」