第2章 Trick or Treat !?
降:「風見!もう一度、報告をくれるか?」
仮面に内蔵されたモニターの電源を入れながら、僕は風見に呼びかける。
しかし、風見から返事は来ない。
降:「どうなっているんだ?」
風見の声が焦っていたことを思うと、想定外のことが発生しているに違いない。
周囲を見回し、組対のメンバーも会場内に居ないことを僕は確認する。
どうやら僕が魔女に絡まれている間に、彼らも裏のパーティ会場に移動したようだ。
モニターに映し出された画像を僕は、確認する。
それは、川崎さんと風見の位置情報を示した物だ。
不測の事態を考えて、川崎さんのヘッドドレスにGPSを仕込んでおいたのが功を奏した。
(ここの地下に2人とも居るな…)
映し出された2人の位置情報は、ちょうど僕が居る位置の真下を示していた。
地下に降りる出入り口を探そうと、動き出した僕の耳に雑音と共に風見の声が聞こえてくる。
風:「ふ…やさん…」
降:「風見!どうやって地下に行くか、教えてくれ」
風:「ふん…いのお…に…しる…ります」
雑音と共に聞こえてくる風見の声を拾い、僕は位置を予測する。
降:「噴水の奥か?合っているなら、2回ノック音で伝えてくれ。違うなら3回だ」
すぐに風見から2回のノック音が聞こえてくる。
降:「すぐに向かう!」
風:「お…がい…し…す」
風見の返事もそこそこに僕は、外に設てある噴水へ走り出した。